本郷百貨店
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24時間稼働の「本郷郵便局」 岩塚忠さん/木村香織さん

 東大の赤門前から本郷通りを北へ約2百メートル進んだところにある本郷郵便局。小石川郵便局とともに文京区で24時間稼働する郵便局で、ガラス張りの建物の中ではアルバイトを含めて約350人が働く。

自分が受けて心に残った接客を

 エスカレーターで2階に上がると、「案内係」の腕章をつけた男性従業員が元気にあいさつしてくれた。フロアに展示されていた絵葉書のことを郵便窓口の男性に質問すると、カウンターから出て来て丁寧に説明してくれる。
 「みんな、仲がいいんです。和気あいあいという感じで」と窓口営業部課長の岩塚忠さん。取材日は11月中旬。フロアはすでにクリスマスの飾り付けが施され、賑やかな雰囲気だ。この飾り付けは岩塚さんによるものだと、貯金窓口での業務を担当する木村香織さんが楽しそうに教えてくれた。「好きなんですよね」と岩塚さんもテンポよく重ねる。
 木村さんは入社3年目。学生時代のウェイトレスのアルバイト経験などから、窓口での接客業務に就きたいと思っていた。「一人ひとりのお客さんと、何かしらの会話をしたいですね」。やわらかな物腰で、顔だけでなく体ごとこちらに向けてゆっくり話す。「ただ手続きだけというより、来てよかったと少しでも思ってもらえたらいいなって。自分の買物の時も、一度行ったお店でちょっとした会話から店員さんが覚えていてくれると、とてもうれしいから」。 郵便局には地域の住民、勤め人、学生、様々な人がやって来る。ある日、木村さんが案内係のコンシェルジュとしてエスカレーターの前に立っていると、外国人客が英語で早口に話し始めた。「一所懸命に話を聞いて身振り手振りで対応したら、『この前はありがとう』とまた来てくださいました。自分が海外に行った時を思い返しても、こちらが片言で伝えたことを相手が何とか理解しようとしてくれると、心に残りますよね」。

郵便局が地域の情報をつなぐ場に

 本郷郵便局では、地域に郵便局を活用してもらうための試みとして、ポスターやチラシなどを一定期間、有料で設置できるサービスを行っている。「郵便局というと、切手や葉書を買ったり、貯金をしたりする場所というイメージが強いでしょうけれど、地域の情報をつなぐ場所としても利用していただけたらうれしいですね」と岩塚さん。
 昼休みには、商店街の飲食店や東大の学食などに食事に出かけることもあるそうだ。郵便局そばの「もり川食堂」は木村さんにとって思い出深い店で、「入社したらまずはここに行くのよ」と先輩に連れて行ってもらったという。
 ガラス越しにイチョウ並木を臨むフロアには清々しい空気が流れている。それと同じ気持ちよさが、窓口に立つ一人ひとりから漂っていた。

本郷郵便局

東京都文京区本郷6-1-15

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