本郷百貨店
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地域密着型の理容店「バーバーチャンピオン」 太田良明さん

 太田良明さんは昭和44年創業の理容店「バーバーチャンピオン」の2代目だ。青森から身一つで上京して店を構えた父、それを支えた母の苦労を間近に見て育ち、将来は理容師になって店を継ぐことを中学生のときに決意。専門学校を卒業後、修業期間を経て27歳前後で父の店で働くようになり、父が病気でリタイアしたのを機に店主になった。ちなみに先代は現役時代、理容技術の競技会でチャンピオンに輝いたことがたびたびあるという。

赤ちゃんからお年寄りまで

 客層は1歳の赤ちゃんからお年寄りまでと幅広い。赤ちゃんが散髪? と不思議に思われるかもしれないが、同店では「赤ちゃん筆」の製作依頼を受けている。これは胎毛筆ともいい、子供の誕生記念に、初めて切った髪の毛でつくるもの。「毛は一度ハサミを入れると、先端が平らになる。産毛は先が細いままだから、筆にできるんです」。一方、来店が難しい高齢客の家に出向いて施術する「出張散髪」も行っている。さらに、エステティシャンでありブライダルコーディネーターでもある妻の協力を得て、婚礼前の女性客の顔剃りやエステといったブライダルプランも展開している。店内をロールスクリーンで仕切れるようにしているのは、女性客に安心してもらうためだ。
 本業以外には理容師会の役員を務め、地域の若手として街の行事にも積極的に参加。多忙をきわめる毎日だが、理容技術の研鑽は怠らない。「髪型の世界は日々新しいデザインが生まれ、技術も進化している。その勉強は欠かせません」。理容業はその人の印象を左右する仕事。客の望みを出来るだけ汲み取り、それに応える施術を心がけている。
「美容は文字通り容姿を美しくすることで、理容には容姿を整えるという意味があります。だから、頭髪だけでなく容姿をトータルコーディネートする仕事だということを常に意識しています」

人や地域とのつながりを大事にした店を

 店では施術中のコミュニケーションも大切だ。父からも会話の仕方は特にうるさく注意された。「お客さんに対して『えーと』とだけは言うなと。そして、相手がどんな方でも話を楽しむようにと教えを受けました」。父から学んだのは技術と接客、そして店をいつも清潔に保つことだという。
 客は近隣で働く人や住んでいる人のほか、子供の同級生の親が来店することも少なくない。「出会いやつながりを大事にしながら、肩の凝らない会話でお客さんと仲良くなり、地域に根ざしてやっていきたい」と話す。
 店は本郷通りから菊坂を下る途中にある。太田さんの人柄もあって、入りやすく親しみやすい雰囲気だ。「大通り沿いは人が多くて落ち着かないけれど、1本入ったところに隠れ家的な床屋があったなと何かの折に思い出していただければ。いや、隠れてはいませんね。うち、ぐるぐる回るサインポールが三つもありますからね(笑)」。(文:相良好美 写真:清水美由紀)

バーバーチャンピオン

文京区本郷4-37-9
電話:03-3811-7413
定休日:月曜、第2・3火曜
営業時間:平日9時~19時
日祝9時~6時30分

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