本郷百貨店
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東京屈指のグルメバーガーの店「FIRE HOUSE」 吉田大門さん

 ふっくらと大きなバンズに、ジューシーなパテとたっぷりの野菜をはさんだハンバーガー。「FIRE HOUSE」は昼夜を問わず、いつも多くの客でにぎわっている。店主の吉田大門さんは約8年に及ぶアメリカ留学から帰国後の1996年、22歳のときにこの店をオープンした。

日本にないなら自分が店を始めよう

 留学中、ハンバーガーはおにぎりや牛丼のように身近な食べ物で、なにより美味しかった。それに、山盛りのフライドポテトと一緒にどんと皿に盛りつけられた様子はカラフルで遊び心も感じられ、初めて見たときはワクワクと心が躍った。帰国後、アメリカで出会ったそんなハンバーガーを出す店を探したが、納得のいく味に出会えない。「それなら自分が、そういうハンバーガーを出す店を始めよう」。本郷を創業の地に選んだのは、学校、住宅、企業が揃っているという理由だった。
 今でこそグルメバーガーは一つのジャンルを確立しているが、当時は千円を超えるハンバーガーはなかなか受け入れられなかった。ハンバーガーといえばファストフード、客は手頃な値段に慣れていた。
 「自分が食べたいと思ったハンバーガーをストレートにご提供しているだけなのですが、開店当初は味も大きさも値段も、すべてが新しく、ほかにはなかった。お客さんにしてみれば『なんじゃこりゃ』という感じだったのでしょう。どの場所に出店しても、最初は苦労したと思います」

これが美味しいと信じていたから

 売上げが伸び悩む時期が続き、周囲からは値段を下げることやサイズを小さくすることを提案されたこともあった。それでも吉田さんは自分の理想を曲げなかった。「野菜や肉をはさむ順番、塩こしょうやマヨネーズ、マスタードの量、ハンバーガーの組み立て方、すべてオープン時から変わりません。ハンバーガーはガブリとかぶりついた瞬間、口の中にそれぞれの食材の味が一気に広がる。そのバランスが大切なんです」。使用するバンズはなんと40回も試作を繰り返したという。
 「しばらくは経営的に大変だったけれど、これが美味しいんだ、この味を求めてお客さんが店に来てくれるはずだ、と信じきっていたから、ずっと続けてこられたんですよね」
 その後、グルメバーガーの先駆けとして一躍有名になった「FIRE HOUSE」には、同じようにグルメバーガーの店を開きたいと志す人が集まり、これまでに10名以上が修業、独立していった。また、吉田さんは現在、「しぼり屋 吉ゑ門」というジューススタンドも本郷で経営している。
 「野菜や果物のしぼりたてジュースを自分が飲みたいと思ったから店をつくったんです。ここと同じで、始まりはいつもシンプル。それで失敗したこともあるんですけど」
 吉田さんは自分の気持ちに素直に、そして忠実に、食べたい味を追求し続けている。(文:相良好美 写真:清水美由紀)

FIRE HOUSE

文京区本郷4-5-10
電話 03-3815-6044
営業時間 11時~23時(L.O. 22時30分)

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